フィジカルインターネットとは?2040年に向けたロードマップを解説 | 運送社長支援

フィジカルインターネット

読み方:ふぃじかるいんたーねっと  英語表記:Physical Internet

 

フィジカルインターネットとは、インターネットでデータが最適な経路で運ばれる仕組みを物理的なモノの輸送に応用し、複数の企業が輸送網・倉庫・輸送機器を共有する物流の将来構想です。

なぜこの構想が出てきたのか

日本の物流は深刻な非効率を抱えています。トラックの積載率は長年5割を下回る水準で推移しており、半分以上が空気を運んでいる状態です。加えて帰り便の空車、企業ごとに分断された倉庫、規格の揃わないパレット。個社の努力ではもはや解決できない構造的な問題です。

 

そこで、企業単位で物流網を持つのではなく、社会全体で1つの物流網を共有するという発想に転換したのがフィジカルインターネットです。

 

インターネットでは、データはパケットという標準単位に分割され、最適なルートを通って目的地に届きます。これと同じように、貨物を標準化されたコンテナやパレットに載せ、空いている車両・倉庫を経由しながら最適ルートで運ぶ。それがこの構想の中身です。

実現に必要な3つの標準化

領域内容
ハードの標準化パレット、コンテナ、外装サイズの規格統一
データの標準化伝票・商品コード・物流情報の共通フォーマット化
ルールの標準化契約形態、責任分界点、費用分担の共通ルール

 

日本では経済産業省・国土交通省が「フィジカルインターネット実現会議」を設置し、2040年の実現を目標としたロードマップを策定しています。業界別(スーパーマーケット、建設資材、百貨店、化学品など)にワーキンググループが設けられ、段階的に取り組みが進んでいます。

中小運送事業者への影響

遠い未来の話に聞こえますが、実務への影響はすでに始まっています。

 

  • パレット標準化:一貫パレチゼーションの推進により、標準仕様パレットへの対応が求められる場面が増えています
  • 求貨求車・マッチングの拡大:空車情報や貨物情報を共有する仕組みは、フィジカルインターネットの入り口にあたります
  • 共同配送の広がり:異業種間での積合せが現実的な選択肢になりつつあります

経営者が押さえるべきポイント

「うちのような中小には関係ない」という判断は危険です。

 

フィジカルインターネットが目指すのは、荷物の流れを社会全体で最適化することです。裏を返せば、データを出せない事業者はネットワークに参加できません。

 

いま求められているのは大規模なシステム投資ではなく、自社の運行実績・空車情報・積載率をデータとして持っておくことです。デジタコや動態管理システムで取得したデータを蓄積している会社と、紙の日報のままの会社とでは、5年後に参加できるネットワークが変わります。

 

もう一つの視点は、標準化は中小にとって追い風になり得るということです。規格が揃えば、大手の専用設備でなければ扱えない荷物が減り、参入できる領域が広がります。

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