物流統括管理者(CLO)とは?対象・要件・罰則を解説 | 運送社長支援

物流統括管理者(CLO)

読み方:ぶつりゅうとうかつかんりしゃ(シーエルオー) 英語表記:Chief Logistics Officer

 

物流統括管理者(CLO)とは、改正物流効率化法により特定荷主・特定連鎖化事業者に選任が義務付けられた、物流全体を統括管理する経営幹部のことです。

 

2026年4月1日に施行され、すでに義務化されています。選任しなかった場合は100万円以下の罰金が科されます。

 

物流統括管理者(CLO)とは

物流統括管理者は、2024年に成立した「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」(改正物流効率化法、令和6年法律第23号)で新設された役職です。法第47条(荷主)および第66条(連鎖化事業者)に規定されています。

 

背景にあるのは、ドライバーの時間外労働上限規制によって生じた輸送力不足、いわゆる物流の2024年問題です。これまで物流の非効率は運送会社側の努力で吸収されてきましたが、長時間の荷待ちや手荷役といった負荷の多くは荷主側の商慣行に起因します。そこで国は、荷主企業の経営層に物流の責任者を置かせ、経営判断のレベルで改善を進めさせる仕組みをつくりました。それがCLOです。

 

つまりCLOは、単なる物流部長の呼び名ではありません。調達・生産・販売・在庫といった各部門にまたがる意思決定を主導する立場が法的に求められています。

 

選任が義務付けられる事業者

ここは誤解が多い部分です。CLOの選任義務があるのは「特定荷主」と「特定連鎖化事業者」のみで、運送会社(特定貨物自動車運送事業者等)と倉庫業者には選任義務がありません。

 

改正物流効率化法における特定事業者の指定基準は以下のとおりです。

 

特定事業者の種類指定基準値CLO選任義務
特定第一種荷主(主に発荷主)取扱貨物 年間9万トン以上あり
特定第二種荷主(主に着荷主)取扱貨物 年間9万トン以上あり
特定連鎖化事業者(FC本部)取扱貨物 年間9万トン以上あり
特定貨物自動車運送事業者等保有車両 150台以上なし
特定倉庫業者保管量 年間70万トン以上なし

 

出典:国土交通省「物流効率化法」理解促進ポータルサイト

 

なお、CLO選任義務がない運送会社・倉庫業者であっても、上記の基準値以上であれば特定事業者として中長期的な計画の作成と定期報告の義務は発生します。基準値以上に該当する場合は事業所管大臣への届出が必要で、届出を怠ったり虚偽の届出をしたりすると50万円以下の罰金が科されます。

 

手続きは原則としてe-Gov電子申請によるオンライン提出で、GビズIDプライムの取得が推奨されています。

 

CLOの要件

法令では、物流統括管理者は「事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にある者」から選任しなければならないと定められています。

 

これは実務上、重要な経営判断を行う役員等の経営幹部から選任する必要があるという意味です。現場の物流部門長を横滑りさせるだけでは要件を満たしません。役員クラスであること、そして調達・生産・販売部門に対して指示・調整ができる権限を持っていることが前提になります。

 

CLOの業務内容

物流統括管理者が統括管理すべき業務は、次のとおり定められています。

 

  1. 中長期計画の作成
  2. ドライバーの負荷低減と、トラックへの過度の集中を是正するための事業運営方針の作成・事業管理体制の整備
  3. 定期報告の作成、および国からの報告徴収に対する報告の作成
  4. リードタイムの確保や発注・発送量の適正化に向けた、社内関係部門(開発・調達・生産・販売・在庫・物流)間の連携体制の構築
  5. 運送・荷役等の効率化のための設備投資、デジタル化、物流標準化に向けた事業計画の作成・実施・評価
  6. 効率化に関する社員の意識向上に向けた社内研修等の実施
  7. 調達先・納品先のCLOや物流事業者との連携・調整

 

注目すべきは4と7です。社内の部門間調整だけでなく、取引先のCLOや物流事業者との連携・調整が明記されています。荷主側に交渉のカウンターパートが制度として置かれた、ということです。

 

罰則

違反内容罰則
物流統括管理者を選任しない100万円以下の罰金
選任の届出を怠った20万円以下の過料
特定事業者の届出をしない/虚偽の届出50万円以下の罰金

 

また、努力義務について判断基準に照らして実施状況が不十分な場合、国が勧告・命令を行い、報告徴収や立入検査が実施されることもあります。

 

運送会社の経営者が押さえるべきポイント

自社にCLO選任義務がないからといって、無関係ではありません。むしろ運送事業者にとっては商談環境が変わる制度です。

 

① 荷待ち・荷役時間の削減を交渉する正当な根拠ができた

 

これまで「荷待ちを減らしてほしい」という要請は、立場の弱い運送側からの一方的なお願いになりがちでした。今は荷主側に法的な削減義務があり、CLOという責任者がいます。荷待ち時間・荷役等時間の実績データを提示して改善を求めることは、荷主のコンプライアンス対応を助ける提案になります。

 

② 荷待ち時間の記録が営業資料になる

 

デジタコや動態管理システムで蓄積した待機時間の実績は、荷主のCLOが中長期計画と定期報告を作成する際に必要なデータそのものです。データを整えて提示できる運送会社は、単なる下請けではなく改善パートナーとして扱われます。取引継続と運賃交渉の両面で有利に働きます。

 

③ 待機時間料・荷役作業料の収受につなげる

 

標準的な運賃では待機時間料や荷役作業等料の収受が想定されています。荷主側に削減義務が生じた今は、「削減するか、対価を払うか」という選択を迫られる局面です。記録の裏付けがあれば交渉のテーブルに乗せやすくなります。

 

④ 保有車両150台未満でも準備は必要

 

自社が特定事業者に該当しなくても、取引先である荷主が特定荷主であれば、輸送実績データの提供や改善協議への参加を求められます。データを出せない事業者は選ばれにくくなる、という形で影響が及びます。

 

よくある質問

  1. CLOには資格や試験がありますか。 A. 現時点で国家資格や認定試験の制度はありません。法令が求めているのは、事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にあることです。

 

  1. 運送会社の社長がCLOになる必要はありますか。 A. ありません。CLOの選任義務は特定荷主および特定連鎖化事業者に限られます。ただし保有車両150台以上の場合は、特定貨物自動車運送事業者等として中長期計画の作成と定期報告の義務が発生します。

 

  1. 中長期計画は毎年提出が必要ですか。 A. 年1回の提出が原則ですが、計画内容に変更がない場合は5年ごとの提出が認められています。

 

  1. 一度指定を受けたら毎年届出が必要ですか。 A. 不要です。一度届出を行って指定された後、翌年度以降も引き続き基準値以上に該当する場合、改めての届出は必要ありません。基準値を下回り再び基準以上となることがないと明らかに認められるときは、指定の取消しを申し出ることができます。

 

関連用語

 

参考・出典

 

※本記事は2026年7月時点の情報です。個別の該当性判断は所管省庁または専門家にご確認ください。

 

 

 

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