物流の適正化・生産性向上に向けた法律(物流効率化法)
正式名称:流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律(令和6年法律第23号)
物流効率化法とは、荷主と物流事業者に対して物流効率化の取組を求め、トラックドライバーの負荷軽減と物流の持続可能性を確保するための法律です。2024年5月に公布され、2025年4月と2026年4月の二段階で施行されました。
「2024年問題」との関係
ドライバーの時間外労働に年960時間の上限が適用され、輸送力不足が懸念された問題を「物流の2024年問題」と呼びます。この法律は、その解決に向けた制度的な回答にあたります。
重要なのは、問題の原因が運送事業者側だけにないと国が認めた点です。長時間の荷待ち、手荷役、短すぎるリードタイム。これらは荷主側の商慣行に起因します。そこで法律は、荷主にも義務を課す構成を取りました。
二段階の施行内容
第1段階:2025年4月1日施行(努力義務)
すべての荷主・連鎖化事業者・貨物自動車運送事業者・貨物自動車関連事業者が対象です。
| 対象 | 努力義務の内容 |
|---|---|
| 荷主(第一種・第二種) | 積載効率の向上等、荷待ち時間の短縮、荷役等時間の短縮 |
| 連鎖化事業者(FC本部) | 同上 |
| 貨物自動車運送事業者等 | 運送・荷役等の効率化 |
具体的な取組内容は「判断基準」(省令)で定められ、トラック予約受付システムの導入、パレット標準化、適切なリードタイムの確保、バース・フォークリフト・作業員の適正配置などが挙げられています。実施状況が不十分な場合、国から指導・助言が行われます。
あわせて改正貨物自動車運送事業法が施行され、実運送体制管理簿の作成義務や、荷待ち・荷役時間の記録義務の全車両への拡大が始まりました。
第2段階:2026年4月1日施行(義務)
一定規模以上の事業者が「特定事業者」として指定され、義務が課されます。
| 特定事業者の種類 | 指定基準値 | 主な義務 |
|---|---|---|
| 特定第一種荷主/特定第二種荷主/特定連鎖化事業者 | 取扱貨物 年間9万トン以上 | 中長期計画の作成、定期報告、物流統括管理者(CLO)の選任 |
| 特定貨物自動車運送事業者等 | 保有車両 150台以上 | 中長期計画の作成、定期報告 |
| 特定倉庫業者 | 保管量 年間70万トン以上 | 中長期計画の作成、定期報告 |
努力義務の実施状況が不十分な場合、国が勧告・命令を行い、報告徴収・立入検査が実施されることもあります。
経営者が押さえるべきポイント
この法律の本質は「荷主に義務ができた」ことです。
運送事業者にとっての意味は、規制対応そのものより交渉環境の変化にあります。
- 荷待ち・荷役時間の短縮は、荷主の努力義務
- リードタイムの確保も、荷主の判断基準に明記
- 運送契約の協議では標準的運賃を活用することが求められている
- 特定荷主には物流統括管理者(CLO)という交渉相手が置かれた
これまで「お願い」だった話が、「制度上そうなっている」に変わりました。
そのうえで、自社が取るべき行動は次の3つです。
- 記録を整える:荷待ち・荷役時間、実車率、積載率。データがなければ交渉のテーブルに着けません
- 提案の形にする:削減できる時間とコストを試算し、荷主に持ち込む
- 保有150台以上なら計画対応:中長期計画の作成と定期報告が義務です。該当する場合は届出も必要です
規制を「守るべき負担」と捉えるか、「交渉材料」と捉えるか。同じ法律でも、扱い方で結果はまったく変わります。
関連用語
参考・出典
- 国土交通省「『標準的な運賃』について」 https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk4_000118.html
- 国土交通省 報道発表「新たなトラックの標準的運賃を告示しました」(令和6年3月22日)
- 国土交通省「物流効率化法」理解促進ポータルサイト https://www.revised-logistics-act-portal.mlit.go.jp/
- 国土交通省「特定事業者の指定」 https://www.revised-logistics-act-portal.mlit.go.jp/designation/
- 国土交通省「荷待時間や荷役作業・附帯業務の『業務記録』への記録義務の対象が、全車両に拡大」 https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001865382.pdf
- 国土交通省「改正貨物自動車運送事業法(令和7年4月1日施行)について」 https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_mn4_000014.html
※各ページには「本記事は2026年7月時点の情報です。個別の適用判断は所轄の運輸支局または専門家にご確認ください。」の注記を入れてください。